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院長インタビュー「日々とともに、病を診る。」

By 2026年4月20日5月 7th, 2026No Comments

翠川医院 院長
松本瑞樹インタビュー

日々とともに、病を診る。
町の医師だからできる医療をめざして

2024年より翠川医院で診察を担当し、2026年院長に就任した松本瑞樹。
これまでの来歴や専門領域、地域医療にかける想いを聞きました。

「翠川医院」の名は、
初代院長である祖母の苗字から

―松本先生は2024年から、翠川医院にて診療に携わられています。まずはこれまでの来歴からお教えください。

松本瑞樹院長(以下、松本) 鳥取大学医学部を卒業後、初期研修を経て京都大学医学部の脳神経内科に入局し、関連病院での勤務および大学院での研究活動を行っていました。その後、これまでの総合病院での勤務や大学での研究活動で培ってきた経験を生かしながら地域医療に貢献したいと考え、当院にて診療を担当することとなりました。

―もともと翠川医院は、お祖母様が開業し、娘である前院長に引き継がれたのだとか。

松本 はい、翠川医院の名前は、私の母方の祖母である翠川百合子の姓からきています。開業当初は「翠川」の名が地域のみなさんにとても珍しがられたそうです。開業当初はここから少し離れた場所でしたが2001年、現在の場所への移転とともに母の代へと受け継がれ、現在に至ります。

―この地は松本先生にとって、いわば「おじいちゃん、おばあちゃんが暮らす場所」だったのですね。

松本 そうなんです。私は大阪市内の住宅地や町工場に囲まれた土地で育ったので、自然豊かなこの場所に来られることが、子どものころからの楽しみでした。私が小さい頃は田んぼも多く、カエルをつかまえたり、庭から星を眺めたり。「空が広い場所」というのが当時から変わらないこの土地への印象です。

年齢を問わず歓迎。
認知症やパーキンソンだけでなく
若年層の片頭痛や、生活習慣病にも注力

─翠川医院では内科の診察も行っていますが、院長のご専門はお母様と同じ脳神経内科ですね。

松本 はい、そのため以前から当院に通院してくださっている脳神経内科領域の患者さんも、変わらずにお受けすることができています。

─そのような道を志すのは、ご家族の影響があったのでしょうか。

松本 家族や親族から医師になることや、脳神経内科を学ぶことを勧められたことは一度もありませんでした。はじめて医療の道を志そうと意識したのは高校生のとき。その後、医学を学ぶなかで、気づけば母と同じ脳神経内科に関心を抱いていました。

―そもそも脳神経内科の領域にはどのような病気があるのでしょう。

松本 代表的なものでいうと認知症、パーキンソン病などの神経変性疾患があります。その他にも脳卒中、てんかん、末梢神経障害、筋疾患、頭痛など、さまざまな病気を扱うのが脳神経内科の特徴です。

中高年以降に発症する疾患が多いイメージですが、例えば「片頭痛」は若年者での発症が非常に多い疾患。年代を問わず様々な方にお越しいただきたいです。

―どのような症状を感じたら、貴院へ受診をするのが良いのでしょうか。

松本 脳神経内科領域の疾患で、よく現れる症状は以下のようなものです。

・ 物忘れ
・ 手足の動かしにくさ
・ 歩きにくさ
・ 手足のしびれ
・ めまい
・ 意識消失やけいれん
・ 頭痛

このなかのどれか一つでも当てはまる気になる症状があれば、早期に受診をおすすめします。

―脳神経内科だけでなく、一般内科も担当分野ですね。

松本 はい。平たくいえば、「からだに不調を感じたら、どんなことでも気軽に受診していただけたら」と思います。なかでも、生活習慣病の改善をめざす生活習慣のサポートは、総合病院時代から注力してきたので、ぜひこちらもご相談ください。

―長いスパンで、幅広い症状を診察し続けていただけるのは、「まちのお医者さん」ならではです。

松本 まさに。これまで勤務していた総合病院は、地域のクリニックからの紹介によって初めて来院され、比較的症状が進んだ患者さんに向き合うことが中心でした。遠方から来られる方も当然多く、症状が改善すれば紹介元へ逆紹介となるため年1回の定期検査以外でお会いすることがない、ということが多かったです。

一方、ここ翠川医院はまさに、さまざまな不調に向き合い、改善をめざす「最初の一歩」であり「日常の延長」というべき場所。日ごろから、かかりつけ医として足を運んでいただくことで、ときに総合病院よりも繊細な診断を可能にするのでは、と可能性を感じています。そのように、「日々を知りながら病を診る」ことこそが、地域に根ざしたクリニックの医師の強みでしょう。

地域の方はもちろん、例えば近隣の大学に通う若いみなさんにも、日常的に頼りにしていただけたらうれしいですね。

早期受診・早期発見で選択肢を広く。
「日進月歩の医学にできることがある」

―脳神経内科の研究にも携わられていた松本先生は、この脳を診る医学に探究心を掻き立てられるような「魅力」もお感じになっているとお聞きしました。

松本 そうですね。もちろん、臨床の現場では患者さんに適切な診断を行い、必要な処置につなげることが第一です。ただ一方で、脳神経内科という医学分野そのものは、どれほど探求しても尽きることのない、非常に学びがいのある領域だと、いまも変わらずに思っています。そうした思いが、最新の医学情報を得ながら研鑽を重ねていこうという私自身の動機にも結びついています。

そもそも、脳という臓器の働きはまだ解明されていないことが数多くあります。多くの事柄において、いまだ正解が見出されていないのが脳の世界です。それにも関わらず、昔から「経験を積んだ脳神経内科医は、ハンマー一本あればだいたいのことがわかる」とも言われているんです。

―ハンマー一本ですか。

松本 はい。「打腱器」と呼ばれる、神経系の異常を見つけ出すための医療器具です。これを患者さんに用いて、私たち脳神経内科医は反射の強さ、弱さ、左右差などを診ながら、神経のどこに問題が起きているのかを推測し、診断に生かししています。

もちろん、現代ではCTやMRIなどの画像検査や血液検査なども行いますが、実際には、そうしたデータは「答え合わせ」のような感覚で確認していることも少なくありません。患者さんの体からさまざまなデータを集められるようになった現代においても、なお医師による「見立て」が重要となる数少ない医療分野、それが脳神経内科だと思います。

―まだ不明なことも多い「脳」という臓器が、腱反射1つで病名のヒントを示してくれる。たしかにとても興味深いですね。

松本 そうですよね。命をお預かりする責任とともに、日々学び続けようとする探究心や、まだ解明されていない謎に向き合う姿勢も、医療に携わる人間には必要だと私は思っています。そうして得た最新の知見をできるだけ早く、わかりやすい形で地域医療に還元していきたいというのが、今の私の想いです。

重ねてお伝えしたいのが、かつては診断がついたとて打つ手がなかったような病気が、日進月歩の医学の進歩によって、今ではかなり「できること」が増えてきている、ということです。

―たとえばどのようなものでしょう。

松本 たとえば認知症の分野では、発症前後の早い段階から介入することで、将来の変化を抑えることが期待される時代になってきています。また、片頭痛も、悩まれる患者さんが多いことから研究が大きく進んでおり、治療薬も年々進歩していますので、以前よりも治療の選択肢が豊富になっています。市販薬でやり過ごすのではなく、医療機関を受診いただくことでご自身に合ったお薬と出会い、生活の質を大きく改善できる可能性があると思います。

より幅広い年代の方が快適に受診していただける環境となるようソフト面・ハード面ともに改善できるよう努めていきます。ぜひ、「頼れるまち医者」として、足を運んでいただけたら幸いです。

―最後に、この地域のおすすめスポットを教えてください。

松本 お気に入りの場所として真っ先に思い浮かぶのは、宝ヶ池公園 です。政令指定都市の中にあるとは思えないほど自然が豊かで、池の周囲の遊歩道は本当に気持ちがよく、今でも「素晴らしい場所だな」と感じます。

なかでも、いつ見ても印象的なのは、宝ヶ池の池越しに見える 京都国際会議場 と、その奥にそびえる 比叡山の景色です。子ども心に「凄いな」「格好いいな」と感じていた風景で、今でもこの地域を象徴する景色の一つだと思っています。
また比叡山といえば、医院のあるこの場所から望む比叡山の秀麗な姿は、昔から変わりません。いつ見ても美しく、この景色がとても気に入っています。

当院を受診される際には、ぜひふと空を見上げて、比叡山の姿にも目を向けてみていただけたらうれしいです。この地域が持つ、穏やかで豊かな時間の流れを少し、感じていただけるかもしれません。

ーありがとうございました。